天気の子 新海誠 最新作 ネタバレ感想 評価レビュー

映画 天気の子 ネタバレ感想 評価レビュー

© 2019「天気の子」製作委員会

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映画「天気の子」新海誠 最新作 ネタバレ感想 評価レビュー 【 78点 】

ど~も、お天気お姉さん大好きおじさんです。

新海誠監督の新作映画「天気の子」観てきました。前作の「君の名は。」は劇場に観に行かなかったのですが、テレビで放送した際に観たら思いのほか出来が良かったので今回の「天気の子」はリアルタイムで劇場で観てきました。

ネタバレ有りの感想になるので、本編鑑賞前のかたはご注意ください。

映画「天気の子」はハッピーエンドではない!?

実は今回この「天気の子」を映画館に観に行くかどうか、少し迷っていました。はっきりとしたネタバレとかは見ていませんでしたが、何人か観た人の発言やテンションが高くない気がしたのです。そこで思ったのが、今回はハッピーエンドではないのかな? という部分でした。

新海誠さんの作品は猫の短編を作っていた時期からそこそこ観てきているのですが、それまでの作品は少しネガティブというか鬱々としたようなあまりハッピーな物語ではない作風のイメージでした。それが前作の「君の名は。」ではプロデューサーの川村元気さんの舵取りが良かったからなのか、それまでの新海誠作品の中では一番ハッピーな終わり方に感じたのです。

そんなこれまでの新海誠さんのイメージから考えられないようなハッピーエンドの映画で見事大ヒットとなった「君の名は。」でしたが、どこかのインタビューか何かで聞いた話では「本当は最後に瀧くんと三葉ちゃんが再開しないで終わる予定だった」という構想を新海誠さんが考えていたというのです。

結局そのバッドエンド案は周りのスタッフやプロデューサーに説得されて止めたみたいですが、やはり新海誠さんの根っ子の部分ではハッピーエンドより少し報われないような切ない話が好きな人なのかなあ~と思ってしまいます。

今回の「天気の子」では気になるラストのオチをどっちに持っていったのか? そこだけが非常に気になっていたのです。

「天気の子」キャラ作画の感想

天気の子 キャラ作画 参考画像 ヒロイン

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キャラクターの作画の全体的な完成度としては申し分ない出来だったと思いました。Z会のCM作品あたりから? キャラデの田中将賀さんと組むようになって、キャラクター作画のクオリティがぐんと上がった印象でしたが、今作「天気の子」も前作の「君の名は。」に劣らない作画クオリティでした。若い子も受け入れやすそうなデザインのキャラクターが、表情豊かに描かれていてとても良かったです。

 

天気の子 キャラ作画 参考画像 水の魚群

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ピンポイントで言うと水の魚群のようなものが生き生きと動くカットなどジブリの作画を思わせるようなカットが印象的でしたが、作画で個人的に好きだったカットは「リーゼントの刑事さんが全力で走って追いかけてくるカット」ですw スプリンターばりのポーズで刑事さんが走ってカメラに向かってくるカットは印象的でしたw

背景作画の描き込みが凄かった

天気の子 背景作画 参考画像 ビル群

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今回特に頑張っていたなあと関心したのはBG背景スタッフでした。新海誠本人も背景が描ける人だったと記憶しているので、背景に対する拘りがかなり強いのかと思います。

 

天気の子 背景作画 参考画像 新宿の街並み

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今回「天気の子」の舞台が新宿近辺なので、まあ高層ビル群やらゴチャゴチャした街並みがこれでもかと出てくるわけです。その背景の描き込みの細かいことw 背景スタッフさんはかなりご苦労されたことでしょう。本当にお疲れ様でございました。

 

天気の子 背景作画 参考画像 室内

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その描き込みは室内でも徹底していて、室内シーンの小物の多さが以前に圧巻だったジブリ作品の「耳をすませば」の団地の室内シーンを思い出すような細かさでしたw

商品名や企業名が実名で出ているのがリアルで良かった

天気の子 参考画像 タイアップ 商品名

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今回の「天気の子」で良かったポイントとして、タイアップの多さも挙げられるかと思いました。どうも実写に比べるとまだまだアニメーションに対しては企業の理解が得られにくいのか、商品名や企業名をパロディや架空の名称にすることが多いかと思います。

細かい部分かもしれませんが、アニメという手書きの絵が生きているように動く大嘘の世界の中で、いかにリアリティを底上げできるかというのは結構重要に感じます。その点で「天気の子」では商品名や企業名が実名で多く表記されていたように感じました。

今生きている現代の世界をリアルに描こうとしている強い思いが感じられるような気がしました。

RADWIMPSの音楽は文句なしで良かった♪

今回「天気の子」を観に行こうと思ったのはRADWIMPSが「君の名は。」に続いて音楽を担当していた、というところが個人的には大きかったと思います。

新海誠さんは昔から音楽に合わせて映像を作るセンスが非常に高かったので、前作の「君の名は。」ではその得意分野を上手く長編フィルムの中に細かく入れ込んで作ったなあと感じました。

今回の「天気の子」ではストーリー部分に少し不安があったので、いっそRADWIMPSの新作MVをシアター環境で観に行くと割り切った気持ちで足を運びました。結果まあまあ面白かったので良かったのですが。

個人的に一番気に入ったカットは花火

今回の「天気の子」で個人的に一番好きだったカットは花火のカットでした。生活の中で日常的に花火を見るといえば下から見上げるのが一般的で、タワーなどに上がって見れば目高。テレビなどの空撮で見れば少し上から見下ろすというのがあるかと思います。

今回「天気の子」の花火のシーンでは空撮で花火の中をカメラが通り抜ける。というカットを見ることができました。このカメラワークで花火を見たのは私は初めての経験だったので、とても新鮮だったし感動しました。

今ではドローン撮影なども多くなってきたので不可能ではない撮影かもしれませんが、リアルで撮影しようと思ったら打ち上げ花火自体予算がかなりかかるでしょうし、爆発する花火の中にカメラを通すのは危険も伴うし技術的にもかなり難しいと思うのです。そこをアニメーションなら危険を犯して撮影する必要もなければ、CGの花火なら理想のカットが撮影できるまで何発でも花火を打ち上げてテイクも重ねられます。

この花火のカットはアニメーションならではの良さを生かした素敵なカットだと思いました。あのカットは劇場の大きなスクリーンで観る価値があったと思いました。新海誠さんは背景と撮影編集は昔から上手い人なので、流石だなあ~と感心しました。私が今までアニメや映画で見た花火のカットの中でも最高の出来だったと思います。

余談:花火といえば「打ち上げ花火下から見るか横から見るか」という劇場のアニメが以前やってましたが、まだ未見なので その作品で花火のカットがどういうカットになっているのかが少し気になっています。シャフトの新房監督だったと思うので奇抜な作り方をしているかと思うのですが、いつか確認してみたいと思います。

特に不自然に感じたポイント

天気の子 参考画像 拳銃

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「天気の子」を観ていて雲行きが怪しく感じたポイントがありました。それは主人公の男の子が落ちていた拳銃を拾ったところです。雨続きの天候異常こそあれど、現代の東京の日常をリアルに描いていたように感じて観ていました。そんな中、歓楽街のビルのゴミ箱の中から偶然拳銃を見つけて拾ってしまうのです。

ここは非常に違和感を感じました。この「天気の子」という作品に拳銃という小道具は本当に必要だったのでしょうか? 現代の日常的な東京をリアルに描写してきた中で10代の子どもが本物の拳銃を拾って発砲してしまう。あまりにも非現実的でリアリティに欠けるような気がしました。

ここで出した「拳銃」という小道具がこの話の大事なキーポイントになるなら分かりますが、私はどうもその必要性を感じられませんでした。物語の全体的なテンションの都合上、主人公が誰かに追われて逃げる追いかけっこのシーンを入れたかった。それだけのために使った小道具のようにしか感じられませんでした。

未来に希望のない物語は観ていて辛くなる

天気の子 参考画像 未来に希望のない世界

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結論から言うと「天気の子」は誰もが心から喜べるようなハッピーエンドではありませんでした。

最終的に主人公が自分にとって一番大切な1人の女の子を助けるのか、世界の平穏をとるのか?というような選択を迫られるような展開になるのですが、女の子を助けた結果として雨の止まない異常気象が元に戻らない世界を生きていかなければならなくなる。というような結末でした。

この展開、どこかで観たような記憶があるなあと思って頭に浮かんだ作品が「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」でした。私はエヴァについてそんなに詳しわけではないのですが、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」のラストあたりでシンジ君が綾波を助けて結果的にニアサードインパクト?やらなんやらで世界が大変なことになっちゃた。というような展開だったと思うのですが、そこがどことなく似ている気がしました。

ここで思ってしまうのが、もっと根本的な解決方法はなかったのか?ということです。男の子がヒロインの女の子を助けたことで女の子は消えずに済み助かったわけですが、それから何年も雨が止まない世界を人類が過ごしているわけです。

ラストで女の子が以前のように天に祈って晴れを願っていた描写があることからも分かるように、それからもずっと女の子は消えない罪悪感を抱き続けながら生きていかなければなりません。あまりにも過酷すぎる人生ではないでしょうか?たとえ主人公の男の子や周りの理解ある人間や家族が女の子をフォローしたとしても、1個人が抱える問題として大きすぎます。

みんなが悩んでいるこの異常気象の問題を人類で共有して解決していこう! 諦めないで希望を持って生きていこう!というような描写があれば少し違ったかもしれません(例えばシンゴジラのような終わり方とか)が、異常気象が続いている原因を知っているのが当の本人である女の子とその身近の人間だけで現状を受け入れてただ生きていく。そんな少し諦めのようなモヤモヤした気持ちを抱えたまま「天気の子」の物語は終わってしまいました。

主人公と同年代の未来のある若い子をターゲットにしていた感がある作品なだけに、明るい未来を描きにくい希望のない終わり方をしたのには疑問が残ります。

万人受けするエンターテイメントとしての王道はハッピーエンド

天気の子 参考画像 晴れる世界

© 2019「天気の子」製作委員会

みんながみんな同じ結末の作品だけでは面白みがないのは分かります。バッドエンドの作品もあってしかりだし、考えさせる問題提起を掲げた作品もあって良いのだと思います。しかし、多くの人が観たいと思う作品はやはりハッピーエンドの作品なのではないかな?と思ってしまうのです。

長い人生の中でリアルの生活には辛いことや嫌なこと苦しいことが沢山あります。多くの人は映画というエンターテイメントの中では観終わった後に晴れやかな気分になれるような、ハッピーエンドの物語を観たいと願うのではないでしょうか?

「天気の子」という気分の良い晴れを連想させるタイトルの作品だっただけに、観終わった後に清々しく晴れやかな気分になれる作品ではなかったのが個人的には少し残念に感じてしまいました。

それでも、観に行って良かったと思える部分も沢山あった作品だったので、新海誠さんの次回作はもっとハッピーエンドな作品になると良いなあと思います。

( ˘ω˘)

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